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女将のひとりごと

今月のひとりごと -女将が日々を綴る-

女将 写真

待ち焦がれ5
高瀬のさくら
幕末も
(木屋町通り高瀬川の桜)

ほんまにほんまに今年の桜は出し惜しみどす。去年の事があるさかい今年は早めにと、ぎょうさんのお客様が三月に来てくりゃはったんどすけど寒い寒い毎日で、桜はひたすら頑なに蕾すら見えまへんどした。寒がりのうちは(私は)いつまでも防寒コートを着用。ようやく3月25日くらいから六角堂さんのしだれ桜が少しずつ花開きこの感じやと4月に入らんと咲かはらへんやろなぁ~と、思てましたんどす。お客様も「どこそこの桜は一本だけ咲いてました」「今年は時期を間違えました」と明らかに不満げどす。桜の開花はこれ程までに、人の心を動かさはるのやなぁと、改めて感心しました。
そやけど、今年の時期は正しおす。温暖化で少しずつ早よ早よなって来て、3月で桜が散るなぁんて、うちとしては寂しおす。昔は入学式の頃が桜がそろそろ満開を迎えるのがほんまどした。そやし今年はゆっくり安心して桜に会えますえ。

うちのお勧めはいっぱいありますけど、何と言っても夜桜NO1は東寺さんどす。五重塔とライトアップされた桜との取り合わせは京ならでは。国内外問わず見る人を虜にする堂々たる桜どす。
日中はうちとこから(当館から)近くやったら、木屋町は外せまへん。徒歩15分くらいどすやろか。三条通りを真っ直ぐ東へ歩いてもろて、河原町を越えたら直ぐどす。鴨川の西側にある高瀬川と言う細い川に沿ってずっーと桜並木が五条迄続きます。東側は飲み屋さんが立ち並ぶ有名な木屋町通りどす。高瀬川は国の史跡にも指定されたはる運河どす。うちらは(私たちは)小学校時代にはこの浅い川に入って遊んでて、この小さな運河は京都の発展にものすご影響を与えはったなぁんて、小学生のうちは何にも知らんとザリガニやらタニシやら取った数の競い合いに興じてましたえ。

今でも木屋町二条には<一之舟入>ってあります。 船入りは高瀬川を運行する高瀬舟の荷物の揚げ降ろしをする船溜所のことどす。底の平らな<高瀬舟>で物資を伏見まで運んだはったんどす。そこにはドラマがあって 豊臣秀頼さんが角倉了以さんに方広寺の大仏の再建を命じはって、必要な資材を鴨川をさかのぼって京の三条まで運ばはったけど、鴨川はそのころ暴れ川どす。そこで了以さんは京と伏見の間に運河を造ることを考え、息子さんの素庵さんと共に高瀬川を運河にしゃはりました。急に運河にしゃはるなんて!とびっくりどすけど、了以さんはもともと豪商の生まれで頭もめちゃくちゃ賢いさかい出来はったんやと思います。結局、方広寺の大仏は再建出来ませんでしたけど、運河は完成。大阪と京を結ぶ交通要路となりました。
この場所では是非とも桜と復元された高瀬舟を一緒に写すのがお勧めどす。

そこから下に向かって(南に)桜を愛でながらそぞろ歩きどす。
三条過ぎてキルフェボンのフルーツタルトの誘惑に勝って、ひたすら桜を愛でます。ここら辺は幕末の香りプンプンな所。<池田屋>さん、材木屋さんの<酢や>さんとこにある<坂本龍馬寓居址><佐久間象山寓居址><坂本龍馬妻 お龍 独身時代寓居跡>お龍さんはうちとこの近くに実家があったけど・・・。
もう桜と幕末とで頭の中はどっちつかず。お茶でも飲んで頭の中整理しようと・・
ええ!今度は<土佐藩邸址>?
もう今度桜が散ったらもっかい(もう一回)来なあかんわ。
それにしても、桜の美しさと幕末の歴史の宝庫とお人さんに酔いそうどす。
ちょっと暖簾のお洒落なカフェ<LE LABO>さん。うちとこの近くにある新風館にも出店したはる香水やさん。香りを冷やかして、奥の蔵のカフェへ。テイクアウト専門どすけど今日の暑さは水分取らんと着物のうちは熱中症気味どす。今年初のアイスカフェラテどすなぁ。お若いスタッフさんに作ってもろて、ほんまに濃いミルクにこってりしたコーヒーを淹れはります。ちぃちゃなベンチにお二人座ったはるのですけど、お尻滑り込ませてここは厚かましいおばちゃんになって、お席確保!あぁ美味しおすぅ。生き返りました!
シナモンクッキーも食べて、もう幕末は忘れました。ふふふ

弥生 女将

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