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女将のひとりごと

今月のひとりごと -女将が日々を綴る-

女将 写真

合戦地
木犀香る
美術館
(アサヒグループ大山崎山荘美術館)

今月はちょっと遠出どす。けど町中のうちとこ(私の所)からは割とアクセスよく大丸さんの(大丸デパート)地下から阪急電車で乗り換えなしで25分くらいどす。
そんなんやさかい遠出と言うには大層な話どすけど、京都府乙訓郡大山崎まで出かけまひょ。
住所聞いただけでは何かものすご(大変に)遠くやと思いますけど、ほんまに直ぐに行けますえ。今月はお庭拝見を美術館に変えてのご案内どす。

この地は阪急電車とJRの駅(山崎駅)が割と近くで、阪急電車の「大山崎駅」で降車したらJRの駅に向かって歩いておくれやす。駅から美術館行の無料送迎バスもあるさかい、それも一案どす。うちは待つことが苦手どすさかい、勿論歩きで然もええお天気!気持ちよく歩いていたんどすけど、踏切を超えてやっと今日の目的地「アサヒグループ大山崎美術館」の表示が見えて来てあゝよかった!!と喜んだのもつかの間、その青い表示から急にきつい坂道どすやん!そんなん書いたぁったやろか?一応HP見てきたけど。

お人さんも少ないし、降りてきゃはった人も一人。うちだけ(私だけ)一人でこの坂?なんとなく木々も秋の装いしたはるし、少しは人家もあるけどし~んとした空気感。息も上がってきてなんとなく早足に。

短いけど風情あるトンネル抜けてまだ上り坂どす。そうや!毎日ニュースで熊の事聞いてるさかい、不安を感じてしまうのやわと気が付いたけれど、熊が出てきゃはらへんと言う確証もないし・・・といろいろ思いながら到着どす。美術館と言うより瀟洒な洋館。金木犀が強く香りを放ち、秋真っただ中どす。ここまで来たら、急にお人さんいっぱいやはるやん!よかったわぁと、急にテンションも上がって、お洒落な入口はドアノブを回して入ります。この重厚な扉で全く中の様子が分からない美術館。それもその筈、個人の別荘やったんどす。大阪の実業家で証券業や蘭の栽培もしたはった<加賀正太郎さん>が大正から昭和にかけて建築しゃはりました。この英国風山荘は5500坪の庭園の中にあって素晴らしおすけど、歴史的にはご本人が亡くなられた後、幾度かの転売の憂き目に遭わはります。全て潰してしもて大規模マンションの計画が浮上したりしますけど、地元の方々が保存運動をしゃはって京都府や大山崎町から要請を受けはったアサヒビールさんが行政と連携をしながら美術館にしゃはりました。そんなことも考えるとこの素晴らしい山荘を美術館として残してくれはったアサヒビールさんに感謝どす。今現在はサイバーテロに遭わはってほんまに大変どす。うっとこも(私共も)アサヒビールが一部分入荷出来しまへんけど、ほんまにテロとかややこしい事せんといてほしおす(欲しいです)。早い回復を心から祈るばかりどす。

それでドアノブを回してから、中に入ると洋館建築の匠の技が光ってます。加賀正太郎さんが、ご自分で設計をしゃはってイギリスのチューダー・ゴシック様式に特徴的な木骨を見せる建築スタイルで鉄筋コンクリート造、屋根部分には鉄骨が組まれているので、すごくどっしりとした構えを感じますえ。一番初めに入った応接間みたいなとこから美術品が並び、今回うちが(私が)寄せてもろた時は<美術館で大航海!>と言うテーマどして、13ヵ国、107作品を展示したはります。絵画・陶磁器・彫刻などで13ヵ国を巡ります。

美術館としては1991年から1995年には安藤忠雄さんが本館の修復工事も手掛けはって「地中の宝石箱」と名付けた地中館が完成、翌年1996年には美術館としてオープンしゃはりました。そやし来年は30周年を迎えはります。2021年には「夢の箱」と名付けた山手館が完成しました。コンクリート打放しの建築は「はあ~やっぱり光を大切にしゃはる安藤忠雄さんらしい建築やなぁ」と。ほんまに建築も美術品も見応えたっぷりどす。普通の美術館やったら無機質やし、それはそれでええのんどすけどここは何か人の温かみみたいなんを感じるというか、階段の手すりもお洒落でその途中の壁に嵌められているステンドグラスはほんまに色合いが綺麗でずっと眺めていたい程どす。そんな別荘部分と安藤建築の部分が上手く融合したはって然もこの山一帯が美術館を守ったはるかのような錯覚に陥ります。

ん?山一帯?天王山?

ひよっとして天下分け目の戦い・・・<山崎の戦い>どすか?明智光秀が本能寺で謀反を起こし織田信長が最終自刃した<本能寺の変>から羽柴秀吉と戦うまでの三日天下。その間、備中高松で戦さをしていた秀吉が高松から京都までの200キロを1週間足らずで駆け抜けた事をのちに<中国大返し>と呼ばれたはったけど、ここ天王山で光秀と秀吉が戦い秀吉が勝利を収めて天下を取った!そやわ!ここどすわ。

急に心がザワザワしてきたうちは本館の2階へ上がって、お洒落な喫茶室を発見!ちょっと落ち着こ。合戦の声が耳に・・・。

ええ~この喫茶室は京都のリーガロイヤルホテルのケーキがあるのやて。早速「お茶会へのお誘い」と言うネーミングのお紅茶入りのケーキとホットコーヒーを注文どす。テラス越しに目をやると山々が綺麗に見えてほんまにほっこり。しかもコーヒーカップもケーキ皿もお揃いのお洒落な柄。ソーサーをそっと裏返してみたら、さすがWedgewood!加賀さんの遺志を継いだはります。コーヒーも薫り高くて美味しおす。早速に例の歴史をググってみたら阪急「大山崎駅」前に歴史資料館があるのやて。行ってみよぅ(行ってみます)。JR「山崎駅」前には千利休が手掛けはった日本最古の<妙喜庵の待庵>と言う国宝のお茶室もあるのやて。ウィスキーがお好きな人やったら<山崎の蒸留所>も近くやわぁ。

あんまり欲どしい(欲深い)事したらあかんし(駄目なので)コーヒー飲み終えたら山降りて<大山崎町歴史資料館>行こうっと!ふふふ

弥生 女将

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