秋うらら
鯉跳ねて見る
縁の下
(智積院のお庭にて)
やっと夏の中に秋風が感じられる様になりました。9月はもう最近は夏の範疇やさかいその中の秋と言う事どす。ややこしい表現どすけど、今年もやっぱり夏が長ごおしたなぁ。(長かったですね)
7月の祇園祭からあっという間の9月どす。今年は大阪関西万博もあったさかい、集客に期待の年どしたけどなんか良かったような影響なかったような、が本音どす。うちも一応2回は寄せてもろたんどすけど、<愚図でいらち>のうちは(愚図は辛気臭い事。いらちはせっかちな事)何時間も並ぶことが苦手なタイプどす。そのくせ、辛気臭いなぁんてあきまへんなぁ。京言葉は優しく聞こえて、ほんまはキツイかも?どす。(笑)
今月はまだ一度も寄せてもろた事が無いとこへご案内どす。恥ずかしながら東山の智積院さん。
素晴らしいのはよう知ってたんどすけど、国立博物館や三十三間堂さんにはよう寄せてもらいますのにそこから直ぐの智積院さんは初めてどす。すんまへん。東山通りに面した総門は威風堂々としたはってほんまに立派どす。少し南へ歩いて入口があります。とにかく敷地が広いさかい、ゆったりとした伸びやかな気分になりますえ。
智積院さんは、もともとは和歌山の根来(ねごろ)にあった大伝法院さんの塔頭どした。南北朝時代、この大伝法院の塔頭として、真憲坊長盛(しんかんぼうちょうせい)さんという僧が建立したもので根来山内の学問所やったことが起源と言われてます。そやさかい今でも寺号は根来寺どすえ。
そやけど歴史はいつも同じ事を繰り返さはります。1585年(天正13年)に根来寺が関白・豊臣秀吉と対立し、秀吉の根来攻めによって堂塔のほとんどが焼失します。当時、根来寺には2,700もの堂舎があったと言われていますけど、当時のご住職・玄宥僧正(げんゆうそうじょう)は根来攻め前に高野山に逃れて助からはって新義真言宗の法灯を守るために智積院の再興を志さはりましたが、念願がかなわないまま十数年が過ぎてゆきます。
1600年関ヶ原の戦いで徳川家康方が勝利した翌年に家康は東山の豊国神社(豊臣秀吉が死後「豊国大明神」として祀られた神社。うちらは<ほうこくじんじゃ>と呼んでます))の隣の禅寺・祥雲寺さんの土地建物を住職に与えはります。そこに智積院を再興しゃはりました。
祥雲寺さんは豊臣秀吉が3歳で死なはった愛児鶴松(棄丸)の菩提を弔う為のお寺どした。この祥雲寺さんの客殿に飾られていた長谷川等伯一派の素晴らしい障壁画が現・国宝で有名どすけど、実は1682年7月の火災でお寺は全焼します。そやけど障壁画は大部分が救出されます。奇跡どす!!現存の障壁画の一部に不自然な継ぎ目があるのは、火災から救出されて残った画面を継ぎ合わせた為と推定されていますし、それも宝物殿で見ることが出来て、うちはびっくりどす。障壁画の中の魂が火災の炎を消さはったんどすやろなぁ。圧巻の絵画は宝物殿でゆっくり見ておくれやす。うちは他にだあれもお人さんがやはらへんし、(居ないし)火災を免れた国宝を独り占めさせてもらいました。おおきに。
いつぞやの女将のひとりごとでつぶやいた<本法寺さんの長谷川等伯さんの巨大な涅槃図>をご紹介させてもろた事を思い出しました。等伯さんは北陸七尾市の出身で京に来ゃはって本法寺に身を寄せはります。当時画壇に君臨したはった狩野派に弟子入りしゃはりますが直ぐに辞めはります。狩野派とは永遠のライバルみたいな関係にならはるのどすけど、1590年代当時の絵師は政治にも影響を与える程の力を持ったはって、と言うよりか京がそんな力の中心やったという事どす。千利休さん事件もあるし、お茶室がさながら政治の拠点やったかも?と、想像を逞しくしてしまいます。来年の大河ドラマも今から楽しみどす。
1705年(宝永2年)に第10世・専戒僧正が発願し、江戸幕府5代将軍・徳川綱吉の生母・桂昌院さんから寄進された金千両(おいくら?)などを基に金堂が建立されました。ほんまに立派な金堂どすけど金剛界大日如来さまが鎮座したはります。その横にはまたまた立派な明王殿があり麦付き不動と呼ばれたはるお不動様にもお会い出来ますえ。
広い境内の北側に大書院があってその中に名勝庭園があるさかい見にいきまひょ。作られたのは、延宝2年(1674年)に完成したものと言われたはります。作庭を指揮したのは、智積院第7世の運敞(うんしょう)僧正であったことが記録に残されていますが、作庭当時から「東山第一」と言われたはって、ほんまにコンパクトに纏められた感じがしますけど、池泉式の庭園で池が深い緑色で正面の山にはいろいろな石組で変化をつけて築山を形成したはります。びっくりしたのはお座敷から濡縁に出させてもろて、そこでゆったり・・・と、築山をぼんやり眺めてたらピチャとなんか跳ねる音がして、?と、池を凝視してたら鯉が右に左に元気に跳ねたはります。それはそれで、ふう~んと言う感じなんどすけど、縁側の下でも音がしてきて、うちは一人やったし池に落ちひん様に覗き込んだら、なんと!縁側の下まで池どした!!ほんまに東山第一のお庭やわ~と感動しました。ほんでその上、縁の下にはようけ(たくさん)の鯉がやはって、目が合いましたえ。お腹空いたはるのかお口ぱくぱくどす。ここはほんまに心ほどける空間。何時間でも居てたいと思えるお庭どす。そやけど、お口パクパクはうちも同じやし、そろそろおいとましまひょ。
出入り口まで来たら、カフェのご案内が・・・。「ききょうカフェ」やて。そういうとあちこち桔梗紋がついてるさかいやなぁと。店内に入ると、ええ!バイカルのアップルパイが!嬉しおす。早速にホットのカフェラテとアップルパイ。あゝ懐かしい昔からのお味。バイカルさんのケーキは京都人はほんまに皆さん大好きどす。アップルパイって何でこんなに美味しいのやろ・・・ふふふ。