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女将のひとりごと

今月のひとりごと -女将が日々を綴る-

女将 写真

いにしえの
かたびらの涼
身にまとう
(京都国立近代美術館 きもののヒミツ)

今日も昨日も40度近い気温との闘いの日々・・・なぁんて皆様にお伝えすると京に足を運ばはるお人さんも減るかも?と思案しますけど、関係おへんなぁ~。全国どっこも(どこも)丸ごとそんな日々どす。そやさかい(そうなので)京はこじんまりした町やさかい、なんぼ(いくら)暑うてもカフェもあちこちあるし自動販売機・コンビニも有り過ぎるくらいどすさかい安心して来ておくれやす。
と、言ってもやっぱり涼しくて静謐な空間の中に身を置くことも、たまにはよろしおすえ。
そやさかい今月は大好きな岡崎へ。岡崎界隈はほんまに風情ある文教地区どす。春と秋はイベントも多くお人さんもいっぱいどす。平安神宮南禅寺を筆頭に界隈はどこも徒歩圏内やし数々の美術館・図書館・動物園・ロームシアター(劇場)公園などなど、岡崎は高い建物もなく緑豊かな風致地区どす。そやさかい、うちらの(私達の)町中からちょっと飛び出して気分変えるのにはベストな地域なんどす。

仕事柄、着物が大好きなうちは今回近代美術館で開催したはる「きもののヒミツ」にどうしても行きとぉした。(行きたかった)着物に何の秘密があるのか興味深々どす。ほんまに暑い暑いのに着物で行ってしまいましたけど、着物で来たはるお人さんは3名だけ!!やっぱり夏の着物はハードル高おすぅ。

いつも音声ガイドをお借りするのどすけど、今回は大好きな常盤貴子さん。実は今から10年ほど前にNHKのBSで「京都人の密かな愉しみ」というドラマを放映しゃはって、うちはそのドラマが好き過ぎて、DVDを5巻購入し、ついに書籍も見つけて没頭どす。これほど京都を魅力的に見せて、ストーリー性を持たしながら京都人の気質までも垣間見せるオムニバスドラマは他にはあらしまへん。その時からの常盤さんのファンどす。今は「京都画報」という番組にも出たはります。着物もよう似合おたはるし、声のトーンも上品でよろしおす。

その常盤貴子さんのご案内で次々と小袖の展示を見せてもろたら、なんと江戸時代のもんどす!まるで絵画のような夏の帷子(かたびら⇒麻で出来た単衣の着物の事どす)が一点、素晴らしい文様を誇って展示したはりました。勿論どの小袖も今年で470年を迎えはる千總さん(株式会社 千總ホールディングス)の持ち物どすけど、江戸時代の小袖がこんなに綺麗に保存したはった事も驚きどす。
繊細な水辺文様は涼し気な麻地によう映えてほんまに一枚の絵画どす。着物は反物と言って一枚の長い長い布を染める事によって柄や無地やいろんな反物になります。その反物を仕立て上げて、人間の体に着ることが出来る着物というものになりますえ。有名な京友禅は、江戸時代中期(元禄年間)に京都で生まれた友禅染の一種どす。扇絵師の宮崎友禅斎さんが考案しゃはったさかい「友禅染」と言うのんどす。京から友禅は江戸・加賀へ伝わり、京友禅・加賀友禅・江戸友禅が三大友禅になります。

お洋服は一枚の布地に着る人のサイズに合わせた型紙を置き、カットして仕上げますが、着物は全く平面の反物を直線縫いだけで曲線ばかりの人間の体に合わせてしまう…しかも太いや細い、背が高いや低いも極端でなければその一枚の着物でOKという代物。ある意味ほんまに合理的なもんどすなぁ。
その上、京都画壇の先生方が着物の図案を描かれたと常盤貴子さんが言わはって、またまた「さすがの京都」なんどすけど、ほんまにその図案もありました。大好きな神坂雪佳さん(かみさかせっか)の<草花図>が展示されていて、それはもう斬新なデザインで色使いが抜群どす。マルチクリエータ―の名も高い雪佳さんはエルメス本の表紙に使われはった事でも有名どすなぁ。
一定方向に図案の向きを描いてしまうと着物が仕上がったときに前身ごろと後ろ身ごろの向きが反対になってしもて、着られしません。彼はそれをちゃんと考えたはりました。ほんまにマルチやわぁ。

着物の下絵の作業をしたはる動画も必見どす。こんなん見たら着物が高いのん当たり前どすなぁ。そやけど心の中では、もうちょっとお安うならへんやろか?といつも思ってますけど。
すんまへん。
ほんであの涼し気なかたびら、一度でええし着てみとぉす。と、ごちごちひとり言・・
まぁ外出たら、危険な暑さ。ちょっとだけ歩いてカフェ<スリーホースィズ>さんへ行って、涼まんと危のおす。
ここはスコーンも美味しくてカヌレは絶品どす。暑おすけどホットのカフェラテと。ふふふ

弥生 女将

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