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女将のひとりごと

今月のひとりごと -女将が日々を綴る-

女将 写真

錦秋に
千種の花見
大雄院
(妙心寺塔頭 大雄院)

11月に入り、修学旅行の生徒さん、外国人、小団体のツアーに方々、等々ぎょうさんのお人さんが
この狭い町中を歩いたはります。4年前と違うのは皆様、しっかりとマスク姿である事どすなあ。
遠い海外から来てもろて京の雅な空気を思う存分吸うてもらいたいのんどすけど、いやいやTVでは
第八波とか言うたはりますさかい安心は出来しまへん。もぉ~ほんまにいつまで・・・と呪いたくなりますけど
こうして少しずつ緩和されてきて、観光が活性化する兆しが見えただけでも有難いさかい、ゆるりゆるり歩みまひょ。

今月は教えて貰わな、なかなか行けへんお寺さんをご案内しますえ。京都通の方も「へえ~」と感嘆のお声を
上げはると思います。
皆様ご存じの妙心寺さんなんどすけど、塔頭が46もあるさかい、退蔵院さんや桂春院さんとかは通年開けてくれたはるので行かはった方も多いと思いますけど大雄院(だいおういん)さんや天球院さんは常は非公開やさかい今期のように「秋の特別公開」の時に寄せて貰わな行けしまへん。京生まれのうちも(私も)恥ずかしながら初めて寄せてもらいました。

大雄院さんは国指定名勝の庭園『桂春院庭園』の右隣。1603年に石河紀伊守光元(竜野城主)の長男の石河市正光忠により父光元公の菩提を弔うために菩提所として創建されたものやそうどす。そやし今のご住職も石河さんなんどすなぁ。それで光忠さんが亡くならはった後、奥様であるお亀の方が才色兼備やったらしく徳川家康の後妻さんにならはりました。現在の大雄院建築は、お亀の方が徳川家康より賜った伏見の屋敷を移築しゃはったとの事。豪邸やったんどすなぁ。移築された客殿(本堂)・書院・庫裏・表門が京都府指定登録文化財どす。この表門は創建時のままで400年以上も前のそのままの姿です。ほんまに京は奥深いとこどすなぁ。

枯山水のお庭や建物も素晴らしいのんどすけど、近代に活躍した蒔絵師・柴田是真さんによる襖絵を至近距離で見せてもらえます。
柴田是真さんは江戸時代後期から明治初期に活躍し、「知る人ぞ知る天才」と評されたはって随一の素晴らしい襖絵が拝見出来ます。稚松図・山水図・滝猿図・唐人物図など若かりし時代の是真による多くの肉筆画をみることができますえ。その是真さんの大作が明治宮殿の千種の間の格天井に描かれていて100種以上の美しい草花が
咲き乱れて荘厳な天井のお部屋やったそうどす。火災で焼失してしまわはったんどすけど、是真さん直筆の下絵が残っていてその花の丸図は後世の絵師たちが描く花の丸の基本、お手本となっているそうどす。
大雄院さんは襖絵として是真さんの花の丸を復活させようと2017年から「大雄院 襖絵プロジェクト」を発足しゃはって是真さんによる花の丸の下絵をもとに、日本で唯一人の宮絵師・安川如風(やすかわ にょふう)さんに3年半に渡り新しい襖絵を描き続けて完成しゃはりました。直ぐにでも着物の柄にして纏いたくなるほどの色使いと構図の素晴らしさ、こんなに美しく可愛く生き生きと季節感溢れて描いて貰ろたお花達は幸せやとつくづく思いました。圧巻やさかいこの機会に是非見ておくれやす。

今回のご案内はJTBさんの「京の女将がお届けする冬の京都の特別な楽しみ方」
<いとをかし 京の女将がもてなす 冬の京都 妙心寺塔頭編>と銘打って、天球院さんと大雄院さんを拝観してもろて、大雄院さんで和ろうそくの絵付けを楽しんで頂き、その上、老舗和菓子屋さんのお饅頭とお茶でほっこりしていただきます。そしてこの企画は旅館にご宿泊のお客様は拝観料・体験代・和菓子とお茶全て含んで2.500円!とびっくりする参加費どす。JTBさん、お安くし過ぎと違いますぅ?
12月16日~始まりますさかい是非お近くのJTBさんへ。WEBでもOKどすえ。

過日、和ろうそくの絵付けもしてきましたえ。ほんまに楽しおした。夢中になって普段おしゃべりなうちが無言どす。ふふふ・・・。勿論お持ち帰りして頂けますので、お家のインテリアとしてもお洒落どすえ。
お寺さん2箇所、ご住職様のお話も聞いて、体験もしてお腹も減ってきゃはったお客様は妙心寺さんの<花ごころ>さん、ちょっと足延ばして仁和寺の<梵>さんへ。どちらも美味しおすぅ~。京の秋は何泊しても足りひんくらい、よろしおす。

弥生 女将

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