酔いしれる
木犀の香と
龍の目
(天龍寺 法堂の雲龍図)
すっかり秋になりました。例年通り夏日もあれば急に冷え込む寒い日も。京のあの暑い暑い夏に嫌気がさしてきゃはった頃、忘れんと涼風と虫の音で秋が恋しくなり、そやけど夏日も時々やって来やはるさかい、その繰り返しの中、確実に秋が深まって知らん内にまたまた魅力ある京に変身どす。
今月は再び嵐山。町中には無い広がりを感じる嵐山は確かに景勝地どす。たまに自然が牙を剥き出さはる事もあるけれども、いつもはとうとうと流れる桂川と大堰川に掛かる渡月橋。嵐山の深い緑。絵に描いたような景色がうちらも(私たちも)自慢どす。すっかり秋模様の嵐山は紅葉の前の小休止。絶対ご覧頂きたい世界遺産の天竜寺は広大な土地に曹源池と呼ばれる池泉回遊式庭園、大方丈・書院・多宝殿・法堂と立ち並び、亡くならはった後醍醐天皇の菩提を弔うために足利尊氏が夢想国師を開山として683年前に創建されました。度重なる火災に見舞われても立ち上がり再建するとこが京の底力どすなぁ。
その中でも法堂の天井画の雲龍図はほんまに圧巻どす。創建当初は鈴木百年先生が描かはったんどすけどそれも大火で焼失してしもて今から25年前に加山又造先生が描かはりました。
法堂に入った瞬間、天井からの視線を感じ、え?と思てしまいます。その龍は怖くもあり、可愛くもあり、生きている様にも見えほんまに不思議な感覚どす。龍の目を見てゆっくり歩いて下さいと・・・副ご住職のお話の通りに、その通りにそろりそろり歩き出すと龍も付いて来ゃはります。ん?何で?おかしいわぁ。と、止まると龍もじっとしたはります。来んといてと、思いながら歩いてもやっぱりうちの(私の)目と龍の目が合います。
おかしいわぁ。入った時には横向きやった筈やのに顔の向きも合わして来たはります。しまいには長年連れ添ったペットみたいな感覚に陥って、辰年生まれのうちはタツノオトシゴと龍は好きやわぁと、訳の分からへん事つぶやいてしまいました。杉板に漆を塗ってその上に白土を重ねて墨で描かはったそうどす。
とにかくとにかく見応えいっぱいの天竜寺さんはたっぷり時間をかけて拝観して欲しいと思います。
紅葉と桜の時期は外してもろて、嵐山は何度も訪れたいとこどす。
今月は先月行きそびれたパンとエスプレッソと嵐山庭園で・・・と。
あまりの沢山の人と待ち時間やし、仕方なくショップの方で大好きなカヌレを買うて帰りました。次回再度チャレンジしますぅ!