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女将のひとりごと

今月のひとりごと -女将が日々を綴る-

女将 写真

暮れの町
明治のモダン
辰野ビル
(三条通り界隈)

とうとう師走に。後十日もすれば除夜の鐘。あぁほんまに早おすなぁ。一年を振り返ってあれこれ考える事もなく過ぎ去って行かはる月日。昨年もコロナで始まりコロナで終わりの一年どしたけど、今年はコロナで始まり
ちょっとコロナと仲良うなる振りして、騙し騙し心の中は「早よう、どっかに消えておくれやす!」と唱えながら五回目のワクチン打たせてもらいました。ほんまにちょっと長過ぎるのと違いますか?まだまだ正々堂々と
旅をしたい方がいっぱいやはりますえ。来年はすっきり退散しゃはった方が身の為どす。

当館からほんの3分も歩いたら三条通り。平安時代は「三条大路」と呼ばれ、そのころから経済と商工業の発展した道だったそうどす。秀吉さんの時代には馬を通すために三条大橋を作らはって、江戸時代の日本橋から東海道終点の三条大橋は有名どすなぁ。浮世絵にもよく三条大橋が出て来ますけど、風情ある橋は程よい太鼓橋でそう思うと嵐山の渡月橋にも似たはります。現在もこの道は三条大橋の西からずっと嵐山の方まで続いたはります。
京都の中心として賑わった三条通りは、明治に入って文化や金融の中心とならはって発展しゃはりました。それで当時、新しく建てはった建物は煉瓦を取り入れた近代的な様式で建てられて、現在も多くのモダンな建築物として通りに溶け込んだはります。東京や大阪もそんなモダンな建物もようけあったんどすけど戦災やら震災で殆どあらしまへん。昭和60年(1985年)には三条通りは「歴史的界隈景観地区」に指定されて、現在はお洒落なお洋服のお店や銀行や郵便局、美術館として使こたはります。

三条大橋を渡る時に左手に見える先斗町の「歌舞練場」(1927年)を皮切りに烏丸通り迄、ざっと12カ所ほどの建築物に出会えます。うちの(私の)お勧めは当館から歩いても直ぐの京都文化博物館(1906年)どす。
是非とも見てほしいのが赤レンガの外壁に白い花崗岩の帯のラインが綺麗な別館どす。東京駅も手掛けはった近代建築の巨匠・辰野金吾さんが49歳の時に設計しゃはった旧日本銀行京都支店の建物。重要文化財に指定されてます。中に入ったら昔の銀行の面影が残っていて重厚さにびっくり。天井が高くて真ん中はホールのようになってます。今はここでいろんなイベントもしゃはります。入館は無料やし、本館には江戸時代の京の町家の町並みを再現しゃはった<ろうじ店舗>もあって洒落たお買い物やお食事も出来ます。当館の松井別館 花かんざしを全館リニューアルする時にうちは何度も何度もこの文博の<ろおじ店舗>を見に行って町家の建築を勉強させてもらいました。
ほんまにおおきに。今となっては懐かしい思い出・・・・。

そやそや、この博物館には素敵なカフェがありますえ。大好きな前田コーヒさんでBLTと勿論コーヒでほっこりしてから店に帰りまひょ。実はここは元金庫室がそのまま使われてます。うちはここにぎょうさんのお金が置いてあったんやなぁ・・・と、想像しながらコーヒをよばれます。ふふふ

弥生 女将

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