梅の香に
白龍うごく
親も子も
(建仁寺 塔頭 西来院さんにて)
寒い三月どすぅ。今年は梅の花もあまりの寒さに頑なに蕾を開かず、梅便りはなかなか聞こえて来まへんなぁ。
いつも三月の早い時期にお勧めさせてもろてるとこ(所)は城南宮のしだれ梅どす。ほんまに何度寄せてもろても、しだれ梅の美しさは他にはあらしまへん。しかも同時に大好きな椿も咲いたはって、ぽとりと今落ちたかの様な花が苔の地面を彩ったはります。
そやけど今月はうちとこから徒歩でも行ける建仁寺さんへ行きまひょか。
なんやものすご(物凄く)話題の白龍をどうしても見に行きとぅなって・・・やっぱり辰年やろか・・・
龍が好きなんどす。
建仁寺さんの塔頭 西来院(せいらいいん)さんへまっしぐら!
立て看板も出したはるさかい、迷わず中へ。やっぱり<京の冬の旅>でお人さん多くてびっくりどす。
海外からの観光客さんと日本人と半々くらいどすなぁ。まず上がらしてもろて直ぐに可愛いと言うか愛嬌のある獅子がお出迎えどす。金屏風にお対で描かれた「唐獅子図屏風」どす。獰猛であるような、けどチャウチャウを思わせる愛くるしさも感じる唐獅子が大胆な筆致で描かれ、京のお寺さんを制覇したはる狩野派一族さんではないと思うもんの、心に残る屏風どす。ほんでそのまま本堂へ。天井を見たら声をあげてしまいそうな圧巻の白龍が2頭も天井狭しとのたうち回ったはると、言うのがうちの(私の)第一印象どす。いったん天井を真っ黒に塗ってから、白で龍を描かはったんやろか。反対に先に白で描いてから龍以外を黒に??こんな心配しなくても、と思いつつ首が痛い程、天井から目が離せまへん。とにかく初めて見る龍どす。
説明をしてくりゃはる方を見つけて、好奇心の塊のうちは質問攻めに。ちょっと驚かはりましたけど、丁寧に教えてくれはって、作者は中国人アーティストの女性画家・陳漫(ちぇんまん)さんで、先程の金屏風も彼女の作品との事。2頭の龍は親子で親龍が子龍に人生のいろいろな事を諭すように教えたはる様子が描かれているのです、と教えて下さいました。この迫力やし違う様にも思えるのどすけど・・。親と子の間には宝寿がまん丸く描かれていて、一つだけ願いを唱えたら叶うのやそうで、早速にうちは天井に描かれている宝寿の下に正座して「ぶつぶつぶつ」と。知らんうちにいくつもお願いしている自分に気が付いて、恥ずかしおしたえ。(笑)
親子の白龍さん、すんまへん・・・と、今にも動きだしそうな龍を後に次の間へ。
次の間ではお茶席になっていて、龍に興奮気味のうちは心を静かに納めようとお薄(お抹茶)を呼ばれる事に。簡単に思てたこのお茶席は素晴らしくて、お床のお軸は秀吉さんの直筆。お茶花は侘助。河井寛次郎さんのお抹茶碗や清閑寺窯の龍を描いたお茶碗なども見せてくりゃはって、びっくりしました。たまたま京都の方や観光で来られた方ともお話弾んで、ほんまに「一期一会」どした。
西来院からすぐの建仁寺さんも寄せてもろて、眼福の時間どした。小学校以来どすやろか、こんな立派なお寺やったんやなぁと、境内を走り回ってたことしか思い出せへんけど再確認どす。ここはまた、いつかお話しますね。
建仁寺さんの祇園方向の門から出て、少し歩いて大和大路通り迄。いつものちょっとほっこりタイムは、今回は甘味処へ。四条通りを少し下がった(南へ入った)とらやさん!コーヒーでもええのんどすけど、この三月の寒さには、こってりした粒あんの「おぜんざい」がよろしおすなぁ。お餅も二個入ったはるし、少し歩きすぎたしお腹も減ってきゃはったしベストチョイスどす。
店内も空いていて、ふうふうしながらゆったり食べてたら、あゝ南座と直結のこの<とらやさん>は、南座の演目が終わったらお客様が雪崩れ込んできゃはって、かしましい事!!今観劇してきゃはったとこやし、興奮状態で入店どす。逃げるようにしてお店を出ました。けど、美味しかったどすえ。うちもたまには南座で観劇もしてみたいわ!と愚痴て温まったおぜんざいの甘さもまだ口に残ってて、足取り軽くまた店へ帰ります。ふふふ