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女将のひとりごと

今月のひとりごと -女将が日々を綴る-

女将 写真

夜長にも
松園に浸る
序の舞
(上村松園展にて)

灼熱に近い京の蒸し暑さから突然、秋が慌てて来ゃはった、みたいな秋の訪れどす。
一瞬寂しくなるような思いを感じてしまいましたが、
京の9月はなかなか蒸し暑さがしつこい事は毎年の事どす。
そやけど、ちゃんと日が早ように暮れたはりますなぁ。

今月は京セラ美術館へ。
去年の春に京都市美術館から新しくしゃはって、行きたいと思いつつなかなか行けへんかって
やっと京セラ美術館デビューどす
美術館の建物は移動していないのに、こんな広いスペースあったかしら?と思うほど
エントランス部分が広く、明るくなった感じがします。
美術館自体の外観はそんなに昔と変わってへんのどすけど、エントランスから見たらあの重厚な美術館が浮いているような錯覚に襲われ、これは一体?と思って見たらファサードの1階部分が全てガラス張り。
ガラスリボンと呼ばれている横長のガラスが建物を支えているように見えます。
そして入館したらええ?と思うほど変わっていました。それもとてもお洒落に。

上村松園展は前期と後期に分かれて展示。国の重要文化財である「序の舞」は後期展です。
うちは昔から松園さんの絵が好きで、何でこんなに品よく美人画が描けはるのやろと、不思議どしたけど
12歳から美術学校に入って恐ろしい程の努力をしゃはったんやなぁと納得どす。
勿論類まれな才能はあったとしても、これだけの素晴らしい作品を残さはるのには、才能だけでは出来ひん事やと思います。

序の舞は松園さん61歳の時の作品。
「一点の卑俗な所もなく、清澄なかんじのする香高い珠玉のような絵こそ私の念願とするところのものである。」
と松園さん自身が語ったはるように、近寄り難いそれでいてそばに居たい感じがする作品どす。
うちが一番好きな作品は松園さんが59歳の時の「母子」。
これは松園さんお母様が亡くなられてその追慕の思いから生まれた作品と言われています。
赤子を見る母親の眼差しが優しく、開き加減の口元はあやしたはる様子が見取れ、母も赤子も淡い色の着物で纏められ、ずっと見続けてしまう作品どす。

どの作品もストーリーがあるさかい、家でゆっくり楽しもうと図録も買いました。

美術館はついつい時を忘れる場所・・・
松園さんで心一杯になって外出たら、早や薄暮。
建物のライティングが綺麗でびっくり。
そうやわ。すぐそこにロームシアターやし、そこの2階にある京都モダンテラスに行こうっと。
大好きなイチジクのケーキもある!テラス席は大文字のお山も見えて最高やわあ。
暮れかかる薄暮のこの時間帯は町中が別世界。ホットのカフェラテとイチジクケーキ。
あぁ~美味し・・・。

弥生 女将

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