

夏めくや
暴悪面の
渡岸寺
(長浜市 渡岸寺 どうがんじにて)
京の5月は爽やかどすえ~と言いとぉすけど(言いたいけど)、年々あきまへん(駄目です)。桜がすんだら夏にならはります。暑さにもめげずちょこっと遠出どす。今月は念願の国宝の十一面観音さんに会うてきましたえ。先月の聖地巡礼が続いてるのとは内容が違いますけど、そやけど流れ的には当たらずとも遠からず・・・そんな感じどす。
大河ドラマの「豊臣兄弟」も今や滋賀の長浜城を築かはってとうとう「城持ち大名」にならはりました。名古屋の中村からお百姓さんで出てきゃはって、またたく間にお城のお殿様やて。
信長に仕えて「サル」と呼ばれながら、糟糠の妻ねねと結婚もして、一夜城と呼ばれる墨俣城(すのまたじょう)を築き「羽柴秀吉」になり、信長の妹のお市の方の嫁ぎ先である浅井家(あざいけ)の居城である小谷城(おだにじょう)を攻略。その後に交通の要衝である長浜にお城を築かはります。駆け足で言うとこんな感じどすけど、「豊臣兄弟」は弟の小一郎が主役やさかい、駆け足のストーリ―の中に弟の話がポイント!。秀吉さんの事しか知らんかったし、ふ~んそうやったん!と思う所も多く、複層的な面白みがあります。
そんな聖地巡礼としては、長浜も行きたいけど、今回は念願の十一面観音さんに会いに行くのやさかい、北陸線長浜駅をスルーしなあきまへん。
そやけど長浜でようけ(たくさん)降りはったわあ。やっぱり大河ドラマの影響どすな。急にがらんとなった列車どすけど、長浜から三駅先の「高月駅」でおりますえ。
なぁんか、駅舎は新しく綺麗でびっくり。ひなびた木造の駅舎を勝手に想像してたうちは(私は)拍子抜けどす。駅から10分足らずで歩いて行けるのでアクセスは抜群どすなぁ。
田んぼの中をのんびり歩いて、すぐに<渡岸寺さん>は見えてきます。
うちは「向源寺」さんと言うのが正式名やと思てたら、それは文化財指定上の名前で、通称は「渡岸寺 観音堂」(どうがんじ かんのんどう)がその地域も表しててそう呼んで下さいと、受付の方に教わりました。
「豊臣兄弟」でもこの地域は戦いなしでは語れないところ。日本一の琵琶湖に面していて風光明媚で穏やかで、春から秋までは穀倉地帯、冬は雪深くて眠りの地域。そやのに(それなのに)織田信長の天下布武の命の基、都から離れたここは恐ろしい戦禍に翻弄されはる地域どす。
渡岸寺さんの寺伝によると、736(天平八)年に天然痘が流行しゃはった際に、加賀白山を開山した修験道の僧・泰澄(たいちょう)さんが、聖武天皇より疫病平癒祈願を命じられて建立しゃはったのがこの十一面観音さんやと言われてますけど、近年は平安時代前期との意見もあり謎どす。
観音菩薩はうちら(私達に)に寄り添い、手を合わせれば仏さんや、僧侶、子供などの三十三の姿に変化して現れはって、苦しみを消し去ってくりゃはる仏さんと言われています。そやし西国三十三か所霊場巡りが今でもあります。うちは後もう少しで三十三か所満願なんどすけど、ちょっと停滞してます。
十一面観音さんは頭の上に六面の小仏面を乗せて、両耳と後頭部に三面、頂上仏に他より二倍ほど大きな宝冠をつけた菩薩面と本面とで十一になります。正面だけでなく全方位に目を向けて救いの手を差し伸べる慈悲を象徴するとされています。
他の十一面観音さんはなかなか後頭部が見れへんし、以前から興味のあった暴悪大笑面(ぼうあくだいしょうめん)は、ここではじっくり拝見出来ますえ。さっそく恐る恐る観音さんの後ろへ回りました。ええ~!!なんかフッと笑ってしまうのが第一印象。そやけど笑いと憎悪と蔑みと慈悲が混じった笑み・・・わかってもらえますやろか。一般的に言われているのは、煩悩だらけの人の愚かさを笑い飛ばす表情やけど、その愚かさを笑い飛ばして悪行さえも救うと言う深い慈悲の心を表した表情と言う表現。うちはなかなか暴悪大笑面さんから離れられへん状態・・・。
深いわ~ほんまに人間を分解して感情の細かい襞まで知ってますぅと言う感じ。AIには分からへんやろなぁ、今のうちの気持ち。
ほんで前に回って対峙します。全体を眺めさせてもろたら、背も高いしイケメンにも絶世の美女にも見える中性的と言う表現が多いのどすけど、ほんまに美しおす。吸い込まれそう。ちょっと腰をひねって、右手は異常に長くうちらを救ってくれはる手の向き、左手は水瓶(すいびょう)を持ったはる。体に密着した薄い天衣などはリアルでヒノキの一木造りの素晴らしさが理解できます。信長と浅井家の小谷城の戦い時に、村人たちによって土中に埋めて守らはったさかい、真っ黒な観音さんにならはったんやて。
この集落の方々が大切に守ったはるのどすけど、1987年に杉本苑子さんの小説「月宮の人」と1971年、井上靖さんの小説「星と祭」にこの観音さんが題材になって、聖地巡礼のきっかけになったそうどす。そらそうやわ、凡人そのもののうちが拝見させてもろても、この観音さんは何や離れ難い魔力みたいなもん感じて、怖いくらいどしたし、小説書かはる程の感性の持ち主やったら、ここの観音さんを書かずにはいられへんと思います。
日本に7体の国宝の十一面観音さんがやはりますけど、その中でも最高峰と言われたはるのは納得の観音さんどすけど1897年旧国宝に指定され1953年また改めて国宝に指定を受けはります。あゝあんまり長い時間 この収蔵庫に居てたら、説明してくれはった方にも迷惑かも…と気付いてふと、我に返ってそや!一時間に一本しか電車なかったんやわ!!と。
怖いわぁ。ほんまに。逃げるように慌てて収蔵庫を出て、受付で本を求めて、速足歩きで駅へ。なんと、計画性のないうちやろ・・と反省しきり。うまい具合にそんなに待たずに電車が来やはって乗ったら反対方向!!鈍臭いうちを呪いながら、行きし(行き)とは違ごて(違って)近江塩津まで行ってそこから湖西線で京都へ。今度は新幹線乗らへんし乗り換えなしで京へ。ほな、ゆっくり景色楽しんで京へと、思いきや気が付いたら京都駅どした。首がこんなに痛いのはすっかり寝てたんやなぁ~。あゝいつものお茶も飲まんと。そやけどカフェは一軒もなかったわぁ。
ほな、京都駅のミスタードーナツさんへ。ここのうちの指定席は一番奥のカウンターの一人席どす。上から駅舎の一階を見下ろす素晴らしく楽しい席どす。待ち合わせしたはる人、のんびりと駅を歩いたはる人。国内外からのようけの観光客の人人人・・見てるだけで楽しおすぅ。京都はやっぱり唯一無二の町。無茶な高層ビルを建てはるとか、どうか変な改革せんとこのままの京のままで!!!京都タワーや東寺さんの五重塔がちゃんと見えます様に!と祈りながら、ドーナツかじりました。ふふふ




































